AI普及でオフィス不要論が根強い中、米大手不動産サービスJLLなどの最新分析では、AIによる企業成長が逆にオフィス需要を押し上げるとの予測が出ています。本記事では、事務職の役割の高度化や、シミックグループなどのAI面接導入事例を交え、AI時代にオフィスの価値が「作業場」から「共創の場」へどう再定義されるのかを詳しく解説します。
AIが普及すればテレワークがさらに加速し、物理的なオフィスは姿を消していくという予測がこれまでの主流でした。しかし、2026年9月に発表された米大手不動産サービスJLLなどの最新市場分析によると、AIはオフィス需要を減らすどころか、中長期的にはむしろ押し上げる要因になり得るという驚きのシナリオが示されています。AI導入による圧倒的な生産性向上が企業のビジネス規模を急拡大させ、結果として、より多くの専門人材と活動拠点を必要とする新たな成長フェーズに入る可能性があるのです。
調査が明らかにしているのは、AIが単純作業を自動化することで企業が余剰リソースを確保し、それをさらなる事業拡大や新規プロジェクトに再投資するという循環です。この過程において、AIを管理・運用する高度な専門人材や、戦略的な意思決定を行うチームの集結が必要となります。特にプロフェッショナルサービス分野では、AI活用の恩恵による組織の成長(人員増)が、自動化による省スペース化の影響を上回ると予測されています。
この変化は一般事務職やカスタマーサポートといった職種にも、前向きな影響を与え始めています。例えば採用の現場では、シミックグループがPreferred NetworksのAI面接ツール「タレスカAI面接」を新卒採用に導入するなど、選考の効率化が劇的に進んでいます。しかし、注目すべきはその先です。効率化によって生まれた時間は、より重要な対面での最終判断や、深いカルチャーマッチの確認に充てられています。AIが初期段階のスクリーニングを担うほど、人間が直接会って熱量を確認することの希少価値と重要性が増しているのが実情です。
AfterAI編集部としては、これをオフィスの役割が「作業場」から「共創の場」へと進化した結果だと捉えています。AIがデータを処理し、人間がその結果をもとに議論する。これからのオフィスは、単純にパソコンを叩く場所ではなく、組織の文化を育み、イノベーションを誘発するためのハブへと変わっていくでしょう。事務職が消えるのではなく、AIを使いこなしながら組織を円滑に動かす役割へと高度化していくという、ポジティブな変化が起きています。
よくある誤解として、テレワークとAIがあれば物理的な拠点は100パーセント不要になるという極端な意見がありますが、これは実態と乖離しています。確かにルーチンワークは場所を選ばなくなりますが、非言語的なコミュニケーションや突発的なアイデアの共有など、物理的な空間が持つ力はAIでは代替できません。成長している企業ほど、あえて質の高いオフィス環境を整え、社員のエンゲージメントを高めようとする傾向が強まっています。
今日からできることとして、まずは自分の現在の業務を棚卸しし、どの部分がAIに代替可能で、どの部分に自分の人間味や対面のコミュニケーションが必要とされるかを明確に分けてみましょう。
次に、シミックグループの事例でも見られたような、最新のAI面接プラットフォームなどのツールに積極的に触れる機会を作ってください。テクノロジーを拒絶するのではなく、その仕組みを理解しておくことが、これからのオフィスで価値を発揮し続けるための第一歩となります。
最後に、リモートワークでの効率性を追求する一方で、オフィスに出向いた際には対面でしかできない深い議論や、チームの連帯感を高める働きかけを意識してみてください。AI時代だからこそ、物理的な場所で人間が関わることの価値を最大化できる人材が、市場から最も求められるようになるはずです。