AI普及による新雇用の8割がソウル圏に集中しているという衝撃的な調査結果が、韓国銀行より発表されました。この「AIによる都市部への雇用集中」という現象は、日本にとっても他人事ではありません。国内でも都心のサウナ施設でAI面接が導入されるなど、先端技術の活用は都市部で先行しています。地域によるキャリア格差が広がる中、私たちが今取るべき生存戦略を解説します。
AIの進化によって仕事が奪われるという不安の一方で、実際には新たな雇用も生まれています。しかし、その恩恵を私たちが等しく受け取れているかというと、現実はそう甘くありません。2026年9月、韓国銀行(中央銀行)が発表した最新報告書「AIと地域労働市場」によって、AI導入がもたらす極端な地域格差の実態が明らかになりました。
今回の調査結果によると、AI関連の雇用創出のうち、なんと約8割(生成AI関連で80.8%)がソウルを中心とした首都圏に集中しています。技術革新が進むことで地方にもチャンスが広がると期待されていましたが、実際には情報やインフラ、そして企業が集まる大都市圏にばかり新しい仕事が蓄積されている状況です。これは、単にAIエンジニアが増えたという話だけではなく、AIをビジネスに活用しようとする企業の動きそのものが都市部に集中していることを示しています。
この影響は、日本国内でもサービス業や事務職など幅広い職種に及び始めています。例えば、2026年9月16日には、都心のラグジュアリーサウナ「Ledian Spa」がアルバイトの面接にAIを導入し、シフト調整まで自動化することを発表しました。AIによって採用の効率が上がる一方で、こうした最新ツールを使いこなす環境や、AI面接を受ける機会そのものが、まずは都市部の求人から先行して現れているのが実情です。
AfterAI編集部としては、この現状を「居住地によるキャリア格差の再燃」への警鐘と捉えています。テレワークが普及し、どこにいても働ける時代が来ると言われて久しいですが、隣国の事例が示す通り、AIがもたらす新しい価値や役割は、依然として高度なネットワークを必要とする都市部で先行して生まれています。地方に住みながらAIの恩恵を受けるには、単にツールを使えるようになるだけでなく、都市部の案件にリモートでアクセスできるような特定の専門性を身につける必要性がこれまで以上に高まっています。
よくある誤解として、AIが普及すれば地方でも都市部と同じように仕事が増えるというものがあります。しかし現実は、AIを開発・運用するための資源や、それを使って新しいビジネスを立ち上げる資本は都市部に集中しがちです。テクノロジーが進化しても、人間が集まる場所が生む経済的引力は無視できないのが実情であり、デジタル化が必ずしも地方分散を加速させるとは限らないのです。
これから私たちができることの一つ目は、自分の住んでいる地域や志望する企業のAI活用度を冷静に見極めることです。求人票の中にAIツールの使用経験を求める記載があるか、あるいは面接プロセスにAIが導入されているかを確認することで、その組織が時代の変化にどれだけ投資しているかが分かります。
二つ目は、物理的な距離を超えるためのスキルセットを構築することです。もし仕事の多くが都市部に集中し続けるのであれば、地方にいながらにしてその市場にアクセスできるリモートワーク適応能力や、デジタル上での信頼構築スキルが最大の武器になります。住む場所を変えずに、仕事のつながりだけを都市部の成長産業に置く戦略が必要です。
三つ目は、AIによる採用選考に慣れておくことです。すでに都心の店舗などで導入が始まっているように、今後はAI面接官を相手に自分の強みを伝える場面が増えていきます。機械を相手にするからといって身構えるのではなく、自動化されたプロセスの中でいかに効率よく自分をアピールできるかを研究しておくことが、地域を問わずチャンスを掴む近道となります。