生成AIのヘビーユーザー率が最も高いのは、IT職ではなく「人事・採用職」と「マーケティング・広報職」の65.1%であるという意外な調査結果を紹介。AIはもはやエンジニア限定の道具ではなく、言葉を扱う事務系職種こそが恩恵を受けるフェーズに突入しています。本記事では、技術知識よりも「言語化能力」が重要になるこれからの働き方と、AI活用のポイントを解説します。
生成AIを最も使いこなしているのはITエンジニアである。そんなこれまでの常識を覆すような、驚きの調査結果が明らかになりました。業務で生成AIを頻繁に利用するヘビーユーザーの割合が最も高かった職種は、専門的なIT系ではなく、意外にも「人事・採用職」と「マーケティング・広報職」であり、その数値は65.1パーセントに達しています。
ラグザスが実施した調査の結果、職種別の活用状況において人事がマーケティングと並びトップに立ちました。これまでAIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職のためのツールだと思われがちでしたが、現場の実態は大きく異なります。日々の業務の中で、文章作成や情報整理、コミュニケーションの頻度が高い職種ほど、AIの恩恵をダイレクトに受けていることがわかります。
一方で、この動きはまだ全ての職種に波及しているわけではありません。大量の書類作成やメール対応を行う「一般事務・営業事務(34.4%)」や「カスタマーサポート(27.4%)」といった領域は、AIとの親和性が高いにもかかわらず、現状の活用率は全体の中でも低位にとどまっています。しかし、だからこそこれらの職種には大きな伸び代があるとも言えます。具体的には、採用候補者へのスカウトメールの作成、膨大な履歴書の要約、面談のフィードバック整理といった、言葉を扱う定型業務が先行して効率化されています。これまで人間が時間をかけて行っていた、言葉のキャッチボールの準備をAIが肩代わりし始めているのです。
AfterAI編集部としては、この結果をAIが実務スキルとして完全に市民権を得た証拠だと捉えています。人事がAIを使いこなしている理由は、彼らの仕事の本質がプログラミングではなく、言葉を介した人間理解にあるからです。AIは今や開発者のための道具から、非エンジニアが自分の思考を加速させるためのパートナーへと進化しました。職種がなくなることを恐れるのではなく、言語能力を武器にする職種こそが、最もAIを味方につけられる時代になったといえるでしょう。過度な失業不安に煽られる必要はありません。実際に米国の企業などでは、AI導入を進めつつも、新たな成長のために採用を再開する前向きな動きも出始めています。
ここで一つ、よくある誤解を解消しておきましょう。それは、AIを使いこなすにはプログラミングや統計学の知識が必須であるという思い込みです。今回、人事が活用率でトップに立ったことが示す通り、最も重要なのは技術的な知識ではなく、解決したい課題を言葉で正確に伝える能力、いわば言語化の力です。複雑なコードが書けなくても、目の前の仕事をどう効率化したいかを言葉にできれば、誰でもヘビーユーザーになれるのです。
まずは、今日送る予定のメールの下書きや、会議の議事録の要約をAIに任せることから始めてみてください。完璧な成果を求めるのではなく、たたき台を作らせるという感覚で日常のタスクに組み込むことが、活用の第一歩となります。
次に、自分の業務の中で、似たような文章を何度も書いている作業がないかを探してみましょう。マニュアルの作成や報告書の構成案など、型が決まっている仕事はAIが得意とする領域です。こうした作業をリストアップするだけで、AIを導入すべきポイントが明確になります。
最後に、同じ職種の人間がどのようにAIを使っているか、SNSやメディアを通じて事例を積極的に探る習慣をつけましょう。自分と同じ悩みを持つ他者がどのようにツールを使いこなしているかを知ることは、自分一人で試行錯誤するよりもはるかに早く、実用的な活用のヒントを与えてくれます。