AIの普及で25万人もの雇用が新たに生まれている一方で、デジタルネイティブであるはずの20代が労働市場から「疎外」されるという逆転現象が韓国で起きています。この「スキルの空洞化」は、日本国内で加速する採用のAI化とも無縁ではありません。最新の調査結果と採用現場の変化から、若手社員がAI時代に生き残るための本質的な行動指針を提示します。
AIの普及によって仕事が奪われるという悲観的な予測が飛び交う中で、隣国の韓国ではAI関連の新規雇用が25万件も生まれているという驚きのデータが明らかになりました。しかしその恩恵を最も受けるはずの20代が、皮肉にも労働市場から疎外されているという衝撃的な事実も同時に浮き彫りになっています。デジタルネイティブ世代がAI時代の主役になるという共通認識を根底から覆す、新たな格差が広がりつつあります。
韓国銀行の調査結果によると、AI関連の雇用は着実に増加しており、数多くの新しいポジションが創出されています。しかしこれらの雇用はソウル圏などの都市部に極端に集中しており、地方での恩恵は限定的です。さらに深刻なのは世代別のデータで、AI技術の進展によって雇用が拡大している一方で、20代の若年層はむしろ仕事の機会を奪われたり、新たな波に乗れずに取り残されたりしている現状が指摘されています。
この変化は日本国内でも他人事ではありません。特に事務職やカスタマーサポート、そして採用の現場に大きな影響を与え始めています。例えば、国内シェアNo.1の採用管理システム『i-web』では、オンライン面接の自動文字起こしやデータの蓄積・活用が本格化しており、人事が経験や勘に頼らず、データに基づいて判断する時代に突入しました。これにより、かつて若手が担当していた議事録作成や初期のスクリーニング業務がAIに置き換わり、求められるスキルの基準が急速に上がっています。
AfterAI編集部では、この現象を「スキルの空洞化」と見ています。AIはゼロから何かを生み出すよりも、既存の業務を効率化することに長けています。その結果、業務の基礎を学ぶための入門的な仕事がAIに奪われ、経験の浅い20代が実務経験を積むチャンスそのものが失われているのです。若さやITへの慣れだけでは武器にならず、AIを使いこなした上でさらに高度な判断ができる熟練層との格差が広がっています。煽るわけではありませんが、単にAIを使えるだけでは不十分な時代が想定よりも早く到来しています。
よくある誤解として、AIは年配の労働者を追い出し、若者がその席に座るというイメージがありますが、現実はその逆です。AIが代替するのは判断基準が明確な定型業務であり、それは多くの場合、新入社員や若手が最初に任される仕事です。熟練者が持つ深い業界知識や対人交渉力は依然としてAIでの代替が難しく、結果としてAI武装したベテランがより強固な地位を築くという構図が出来上がっています。
これから20代が生き残るためにまず必要なのは、AIが代替できない「一次情報」に触れる経験を泥臭く積むことです。効率化はAIに任せれば良いですが、現場で何が起きているのか、顧客が真に何を求めているのかという生の声を知る経験は、AIには再現できません。便利なツールに頼り切るのではなく、あえて自分自身が動いて得た知見こそが、将来的にAIを指揮する立場になった際の本質的な力になります。
次に、採用プロセスそのものがAI化している現実を受け入れ、その仕組みを逆手に取る視点を持ってください。面接の内容が自動で文字起こしされ、データとして分析されるのであれば、自分の発言がどのように構造化され、評価されるかを客観的に分析する必要があります。AIツールを使われる側として恐れるのではなく、選考の裏側でどのような技術が動いているかを理解し、対策を講じる論理的な思考が求められます。
最後に、特定の地域や職種に固執せず、広い視野でキャリアを捉え直すことが重要です。AIによる雇用の増加が一部の都市部に偏っている以上、リモートワークを活用して都市部の案件に参画するか、あるいは地方でAI未導入の領域を開拓するかといった戦略的な選択が必要になります。若さというカードが通用しづらくなっている今、どの場所で、どのスキルを掛け合わせれば自分の価値が最大化されるかを冷徹に見極める姿勢が不可欠です。